Commons:デ・ミニミス
デ・ミニミス(De minimis)はささいな事を意味するラテン語表現で、de minimis non curat lex(法はささいな事にこだわらない)という言い方で使われます。著作物のデ・ミニミスは著作権者の許諾が必要としない、ささいな利用のことです。日本ではいわゆる写り込みという言葉で表現されます。
コモンズではいくつかのケースでデ・ミニミスとして受け入れ可能だと考えられる著作権のあるコンテンツを含むファイルは{{De minimis}}テンプレートを付して識別されるかもしれません。
"デ・ミニミス"とは何か
慣習法の概念de minimisは、ラテン語表現のde minimis non curat lexから来ています。これはしばしば、"法はささいな事にこだわらない"と訳されています。いくつかの技術的な法の違反はあまりにもささいであり取るに足らないので法廷はそれを違法として取り扱わないと決定するかもしれないと考えられています。この概念は法律の多くの分野に適用されています。しかし、ここでは我々は著作権法に限ってその適用を考えます。
もし法廷で証明されたら、デ・ミニミスは著作権侵害行為に対する完璧な抗弁となりえます。このことは、単に侵害者が訴訟費用が高いので訴えられることはほぼない状態で逃げられるというものではなく、むしろデ・ミニミスをコピーしてもコピーした人は法律に全然違反していないということです。
ひとつの事例
著作権が保護されたポスターが背景に写り込んだ写真があるとしましょう。ここではふたつの著作権が関係しています。写真撮影者の著作権とポスターのデザイナーの著作権です。このふたつは独立して存在しています。この写真を撮影しコモンズに投稿すると、撮影者は、もちろん許諾を得ずにポスターデザインをコピーすることになります。従ってこれは通常著作権の侵害になりコモンズでは受け入れられません。撮影者が撮影することによって新たな著作権を創りだしたという事実はポスターの著作権が侵害されないということではありません。たとえその写真が高いレベルの創作性を示していてもそうです。
しかしながら、もしポスターが写真の被写体全体に対して完全に付随的ならば、コピーはデ・ミニミスとみなされるかもしれません。(おそらく、ポスターは小さくて、画像の中の取るに足らない部分で、主要な被写体と比べて完全にピンぼけであるか、または背景に大部分が隠されているかです) 別の言い方をすると、著作権が保護されたポスターがたまたまあるいは付随的に含まれた写真を撮ったことを理由に法廷は著作権侵害の訴えをすぐには支持しないであろうということです。
コピーが十分にささいなものであるかどうかを決定するにあたり、法廷はすべての状況を考慮するでしょう。もし、ポスターが写真全体の構成の主要な部分を形作っていたり、または写真がポスターを故意に含むような構図で撮影されたら、著作権侵害である可能性があります。ここでポスターが「単なる背景」に写っていたという主張は弁護の余地はありません。もしポスターの存在が写真を撮る第一の理由なら、構図の中に周囲の状況や風景以上のものを加える事によって著作権の侵害をしたことは免れません。
もしポスターの存在が画像をより人を引きつけたり、より利用されやすくなったり、取るに足らないもの以上の経済的損失を著作権所有者に対してもたらすおそれがあるなら、それは著作権侵害行為に対してデ・ミニミスであるという抗弁はおそらく失敗するでしょう。
画像がどのように説明されてカテゴリ分類されているかも関係しているでしょう。もし写真が「宣伝ポスター」を示すものとして説明されており、宣伝ポスターのカテゴリに置かれていたら、デ・ミニミスと主張するのは厳しいでしょう。
役に立つテストは、仮にポスターがマスクされて見えなくされても写真が十分に役に立つかどうかを自問自答してみることでしょう。もし答えがノーなら、ポスターは実質的にデ・ミニミスと主張することは難しいです。たとえポスターが小さくて「背景にある」としてもです。
ガイドライン
法律や作品の利用形態がいろいろあるのできっちりとしたルールは設定するのは難しいです。しかしながら一般的なガイドラインとして、著作物 X を含むファイルは次の条件に合致すればするほどデ・ミニミスの条件を満たす可能性は低いです。
- ファイルは X を説明するために使われている(たとえばウィキペディアの X の記事を説明するのにファイルが参照されている)
- ファイルは X に関連するカテゴリに入っている
- ファイル名に X が参照されている
- ファイルの説明に X が参照されている
- X をファイルから除去するとファイルが使い物にならなくなる
- 他の状況を考慮して(例えば、同一の投稿者からの一連の投稿ファイルと比較してみて)、X がファイルを作成した動機である
注意: デ・ミニミスの検討は画像の特定の構成要素に適用します。従って、著作権のある作品に焦点を当てた切り取り(cropping)は簡単に「多分 OK」から「多分 NG」になってしまいます。
# | デ・ミニミスと考えられるケース | 説明 |
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1 | OK 間違いなく該当する | 著作権のある作品 X は見えるが、判別できません。
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2 | OK 可能性は高い | 著作権のある作品 X は判別できる、しかしそれは画像の被写体に対する望まない写り込みであり残念ながら取り除くことができません。
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3 | OK 可能性は高い | 著作権のある作品 X は識別できるがそれは大きな作品の小さな部分であり、大きな作品は X を含めないと簡単に表示できません。X は大きな作品の一部分であり、かつその写り込みは避けられません。
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4 | OK 可能性は高い | 著作権のある作品 X は判別可能で、かつ画像の被写体の一部として避けられない一部です。しかしながらそれは被写体にとって不可欠なものではありません。(それを黒く塗りつぶしてもファイルが使い物にならないわけではありません)
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5 | Maybe | 著作権のある作品 X は判別でき、かつ被写体の避けられない部分であり、そして被写体の要素として不可欠です(例えばそれを黒く塗りつぶすとファイルが使い物にならない)。しかしながら、作品は詳細が充分ではない状態で表示され、かつ/あるいは明瞭度が充分ではない状態で表示されています。したがってデ・ミニミスが適用できるかもしれません。 |
6 | 可能性は低い | 著作権のある作品 X は被写体の鍵となる部分で(たとえば、それが写真を撮る理由)、それを除去すると二次的著作物は根本的に違ったものになる可能性があるものの、それでもまだ利用価値があるかもしれません。
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7 | 絶対にダメ | 著作権のある作品 X は被写体の主要な部分です(たとえば、それが写真を撮影する理由)。それを除去すると、この二次的著作物が利用価値の無いものになってしまう場合です。
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国別関係法令
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ベルギー
Art. XI.190 of the Code on Economic Law states:
- Once a work has been lawfully published, its author may not prohibit: [...] 2°. reproduction and communication to the public of a work shown in a place accessible to the public where the aim of reproduction or communication to the public is not the work itself [...].
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カナダ
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チェコ
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欧州連合
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フィンランド
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フランス
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ドイツ
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アイスランド
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アイルランド
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イスラエル
According to 2007 Copyright Act, section 22:
- An incidental use of a work by way of including it in a photographic work, in a cinematographic work or in a sound recording, as well as the use of a such work in which the work was thus incidentally contained, is permitted; In this matter the deliberate inclusion of a musical work, including its accompanying lyrics, or of a sound recording embodying such musical work, in another work, shall not be deemed to be an incidental use.[2007-2011 Sec.22]
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日本
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オランダ
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モロッコ
"It shall be permitted, without the author’s authorization or payment of a fee, to republish, broadcast or communicate to the public by cable an image of a work of architecture, a work of fine art, a photographic work, or a work of applied art which is permanently located in a place open to the public, unless the image of the work is the main subject of such a reproduction, broadcast or communication and if it is used for commercial purposes".[1-05-192/2006 Art.20]
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ペルー
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セントクリストファー・ネイビス
- Copyright in a work shall not be infringed (a) by its incidental inclusion in an artistic work, sound recording film, broadcast or cable programme; or (b) by the issue to the public of copies of the playing, showing, broadcasting or inclusion in a cable programme service of anything whose making was not an infringement of copyright by virtue of paragraph (a) of this section.[18.08/2000 Section 55]
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シンガポール
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スロベニア
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大韓民国
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スウェーデン
Article 20a of the copyright law as of 2017 says:
- It is allowed for a film or television program to include copies of works of art or public performances and transfer the artwork to the public, as long as the copy is of secondary importance with respect to the film or television program content. This may be done with artwork that appears in the background of, or otherwise forms an insignificant portion of an image.[729/1960-2017 §20a]
These are :
- Thumbnail-sized photos on a screenshot - copyvio of two of the thumbnail-sized photos (NJA 2010 p. 135[1])
- People on a scene with decorations in the background - copyvio of the background (NJA 1981 p. 313)
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イギリス
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デ・ミニミス画像の切り取り
必然的にデ・ミニミス原則のもとで許容された画像は著作権のある素材を含んでいるので、その画像を好きなように切り取りできるわけではありません。
ポスターを含んだ写真の事例では、たとえ撮影者が著作権侵害の主張に対してデ・ミニミス原則を元に抗弁しても、ポスターのデザイナーの原著作権を否定するものではありません。もし誰かが、写真を撮ってポスターだけが残るように切り取ったら、デ・ミニミスの主張はもはや使えません。なぜなら、ポスターが切り取り画像の主要な部分になるからです。従って、切り取りバージョンは著作権を侵害しコモンズでは受け入れられません。
デ・ミニミスのもとで許容された画像を切り取って許容できない別の画像を作成してもいいという事実は、単に原著作物が結局デ・ミニミスでないことを意味しないことに注意してください。たとえ高解像度の画像があり、その中から付随的な対象物の詳細を確実に取り出して拡大できるような場合でも、デ・ミニミスが適用できるかどうかの判断にはその写真を通常見る距離から見て全体として観察するべきです。
事例集
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Burj Khalifa; "風景として" (DR)
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博物館で展示された一連の写真と思われる → デ・ミニミス (DR)
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中央にあるエッシャーの絵 (DR)
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著作権のある作品が壁に取り付けてある愛知万博2005の北門
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飛行機に描かれたトビウオのペイントは、「付随的」なものと考えられます (DR)。
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Lotte World Tower; "風景として" (DR)
関連項目
- Commons:独創性の水準
- Commons:風景の自由
- A discussion about de minimis in videos
- Cromer, Julie, Harry Potter and the Three-Second Crime: Are We Vanishing the De Minimis Defense from Copyright Law?
脚注
Some citation text may not have been transcluded |
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